企業法務・コンプライアンス

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 昨今、企業の不祥事が次々と明るみに出て、その信用低下により企業そのものの存続が危機を迎えることは珍しいことではなくなってきました。また、営利企業に限らず、自治体や国の機関でも、その不祥事によって国民の批判にさらされ、その業務に支障が生じることも増えています。
 それに伴い、コンプライアンスの必要性が説かれ、内部統制システムの構築などが法的にも要求される時代がやってきました。
 ところで、コンプライアンスとは、一般に法令遵守と訳されることが多いですが、昨今、個人情報保護法、会社法をはじめとして、企業法務においてフォローしなければならない法令は異常ともいえる速さで制定や変更が行われており、何をすべきかを把握するだけでも大変です。
 さらに把握できたとしても、企業は法令だけ守っていればそれで信用が維持できるというものではありません。
 多くの人も指摘するように、法令は最低限の道徳規準です。コンプライアンスとはむしろ法令だけではなく社会通念上あるべき姿(社会規範)になるよう組織が十分に対応し、そのルールを守りつつ組織の目的を実現していくシステムを構築、運用していくことを意味すると私たちは考えています。

 ところで、実際に組織を運営するうえで、コンプライアンスを実現することが簡単でないことは経営者や責任者のみなさんが痛感するところと思います。
 私たちもこれまで、自治体や会社など多くの企業法務の場で、顧問弁護士として、さまざまな問題に対して意見具申や事件対応をしてきました。そこで、いつも痛感するのは以下のようなことです。
 組織とはいえ、直接懸案を処理していくのは、生身の人間です。
 社会的地位が高かろうが低かろうが、生身の人間は弱いものです。きれいだったりかっこいい異性を見ればいいなと思うし、お金もないよりはあるほうがいいと思うのが普通です。怖いことや面倒くさいことはできれば避けたいし、耳障りなことはできれば耳にいれたくありません。しかも相性という問題もあります。
 そのため個々の人間は、問題が起きた場合に全部が全部、完璧に100点の対応ができるとは限りません。
 これに対して組織は生身の人間ではなく、その集合体です。ですから、それぞれの人間の弱いところをカバーできる体制をととのえることは可能ですし、またそうしなければなりません。 その体制を整えることがコンプライアンスの実現につながるのですが、生身の人間を相手にするだけにその調整は難しく、それがコンプライアンスの実現の難しさの原因となっているのです。
 そのためいくらシステムを作っていても、それを動かすにあたって、生身の人間が運用しているのだということをいつも念頭において、不断の検証が必要となります。そしてその検証の過程では、一方では生身の人間の弱さというものに対する理解と思いやりを持つことが必要となるのに、他方で組織の継続的安定的運営(つまり規律維持)のために冷静で勇気のいる判断を下すことも必要となり、そのどちらの面を重視して最終経営判断を下すか、が企業法務においては最も難しい場面となるわけです。

 例えば、経営戦略を立てるにあたって労務管理は重要ですが、簡単ではありません。
 それは、労働契約を締結したことによって、使用者は、労働者の人生とその家族の運命を当面、左右する立場にたつ一方で、他方で、その労務管理を誤ると組織の存立がゆらぐという面があるからです。
 そして、多くの経営者が体験するように、その両面のいずれを重視するかの判断に迫られた場合にはそれだけで難しい決断となります。
 しかも、現在の労働法制や判例は、企業が存続し続けることができることを当然の前提にした高度成長期の考え方が根底に残っています。したがって、基本的には、その利益考量は労働者側に傾いています。
 そのため使用者側にとって、そのような利益考量において決して有利とはいえないこともふまえて労務管理をしていかなければならないことが、いよいよその決断を難しくしているのです。

 そのほかの例として、不法勢力による不当要求の場面もあります。
 機関誌購読要求をはじめとして、不法勢力が陰に陽にその威勢を示しながら不当な要求をしてくることがあります。
 最初は少ない金額だと思い、面倒なことにかかわりあうよりも支払ったほうが話が早いからと判断して、うっかり話にのってしまったとしましょう。そうなると大変です。その企業はゆさぶるとすぐにお金になるとの評判をよんで、類は友をよび、様々な不法勢力から目をつけられ、きりがなくなります。
 このような輩に対して是々非々で臨む態度もコンプライアンスの実現にとっては大切です。不法勢力に対して、組織のシステムの力をもって是々非々の方針で対応することは、要するに法の下の平等の実現です。すなわち、力の弱いおばあちゃんであろうが、不法勢力であろうが、できることはできる、できないことはできないといって、同じような対応をするのが法の下の平等に基づくコンプライアンスとしてあるべき姿です。
 もちろん、その対応を組織内の特定の個人に任せきりでは防ぎ切れません。

 またここで述べた場面に限らず、日常の契約や債権管理、株主総会運営など組織運営にあたって迷うことが多々あります。
 私たちはこのような様々な企業法務の場面で、システムの構築も含めて、コンプライアンスの実現のために意見具申や事件対応をしてまいりました。
 そこでの基本的なスタンスとして、私たちは法的に違法かどうかだけでなく、営利企業であれば営業目的に照らし、それ以外の組織ではその目的に照らし、妥当かどうかまでも含めることが必要だと考えております。
 企業法務(組織運営)について、迷いや悩みをもたれる経営者の方はいつでもお気軽にご相談下さい。

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