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弁護士ブログ

第47回勉強会についての報告(後編)

2017.10.16|吉村 友和

前編では、主に消滅時効の規定の改正点について説明しましたが、後編では、改正民法で採用された「契約不適合責任」について簡単に説明します。

 

これまで民法を勉強した方にとってはおなじみの「瑕疵担保責任」という言葉はなくなり、これにとってかわって「契約不適合責任」という概念が導入されることになったのが、改正の目玉ともいえるところです。

 

⑵瑕疵担保責任についての改正点

現行民法では、欠陥商品をそれと知らずに買ってしまった買主を救済するための制度として、売主が瑕疵担保責任を負うことが定められています。

 

一方、改正民法では、「瑕疵」という概念に代わって、「契約不適合」という概念が導入され、売主が買主に契約の内容に適合しない物を引き渡した場合に、「契約不適合責任」を負うことになります。

 

現行民法上、売主が瑕疵担保責任を負うのは、買主が欠陥を知らないこと、又は知らないことについて過失がない場合に限られますが、改正民法では、買主が欠陥を知っていても知らなくても、売主が契約の内容に適合しない物を引き渡せば、売主は契約不適合責任を負います。

 

現行民法の瑕疵担保責任では、買主の救済手段として、解除(契約の目的が達成できない場合に限る)、損害賠償、数量不足の場合には代金減額請求が規定されています。改正民法では、契約不適合に対する救済手段として、追完請求、代金減額請求に加え、債務不履行責任の一般原則に従い契約の解除、損害賠償が認められることになります。

 

改正民法が施行され、契約不適合責任の制度が始まれば、買主が欠陥の存在を知っていたとしても売主は契約不適合責任を負うこと、特定物に限らず不特定物も契約不適合責任の対象となること、損害賠償責任の範囲も信頼利益にとどまらず履行利益にも及ぶこと、といった点に注意が必要となります。

 

今回の勉強会では、売買契約の瑕疵担保責任の改正点を、中心にお話ししましたが、請負契約においても注意すべき点があります。

 

現行民法では、請負人の担保責任の存続期間は、「目的物の引渡を受けてから1年」ですが、改正民法では、「不適合を知った時から1年にその旨を請負人に通知しないとき」に契約不適合を理由に損害賠償等を請求できなくなるとの規定になっていますので、請負人としては、「引渡しから1年経ったからもう責任を負う必要はない!」と思っていると大変なことになります。

 

今回の民法改正では、債権法の分野が大幅に改正されましたが、今回の勉強会で取り上げた範囲はそのごく一部です。

 

今回の勉強会の報告に向けて、改正された民法を見ると、自分が今まで勉強してきた民法が大きく変わることを実感した一方で、実務上は契約書さえしっかりしていればそんなに大きな影響はないのではないかとも感じました。

 

実務上での混乱というよりも、民法が出題範囲となる各種資格試験受験生にとっての影響の方が大きいのかもとも思います。

 

なお、次回勉強会(平成30年1月12日開催予定)では、テーマを「民法改正その2」として、定型約款、保証契約、賃貸借契約を取り上げる予定です。

      以 上

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