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「大船渡・佐々木投手決勝戦投げず」

2019.07.26|甲斐野 正行

  昨日(7月25日)行われた、夏の甲子園岩手県大会の決勝戦で、大船渡高校のエース佐々木朗希投手が登板せず、花巻東高校が勝利し、甲子園出場を決めました。

 花巻東高校は本当に強い学校になったなと感心するとともに、大船渡高校の躍進にも賛辞を送りたいと思います。

 

 しかし、それにつけても驚くのは、疲労蓄積やコンディション面を考慮して、佐々木投手の登板を回避した国保陽平監督の判断について賛否がある、敢えて言うと、否定的意見があると各種マスコミが喧しく報道していることです。

 

 佐々木投手は、最速163キロの速球を投げるプロ垂涎の逸材であり、しかも、3年生になるまで甲子園を含めて大きい大会に登場していないので、野球ファンの関心は非常に高いものがありました。私も、甲子園という大舞台で噂の佐々木投手が強豪校相手にどの程度の力を発揮できるのかを見たいという気持ちがありました。カープも非常に高く評価して注目しており、今秋のドラフト会議では多数の重複を顧みず敢えて1位指名に踏み切る可能性もあるのではないかとみています。

 

 ですので、多くの野球ファンの正直な気持ちとして、佐々木投手が登板せず、甲子園出場がならなかったのはガッカリだというのもそのとおりでしょう。

 

 しかし、どうこう言っても、これはあくまで高校生の課外活動です。野球ファンの娯楽や、それを飯の種にしているマスコミの利益のために、佐々木投手の健康、更には大いなる将来を犠牲にするリスクを冒させるいわれはないはずです。プロならお客様ファーストという視点が出てきますが、高校生の課外活動では生徒ファーストしかあり得ないでしょう。

 

 野球という競技は、各ポジションの中で投手の占める役割と投手の運動量・負荷が極めて大きいという特殊性があり、投手の肩は消耗品であるということは既にアメリカのみならず日本でも常識化しているはずです。

 今大会の佐々木投手の投球状況を見ると、総投球数は435ですが、決勝戦前日の24日に準決勝一関工戦では9回完封で120球以上投げていますし、21日の4回戦では延長12回を完投し、194球を投げています。つまり、25日の決勝戦前の4日間だけで合計300球以上を投げているわけで、その間の準決勝戦前には肘痛を訴えていた(ですので準決勝戦には登板していません)という話もありますから、国保監督の判断は合理的な根拠に基づく至極もっともなものでしょうし、アメリカ人なら、本人が行くと言っても、投げさせるべきではなく、それをさせないのが大人、特に監督の義務だと言うはずです。

 

 ところが、日本では、こと大学以下のアマチュア野球に関しては、学生・生徒の健康よりもチームの勝利が優先し、そのためにとりわけ一握りの優秀な投手に過大な負担を強いるのが当然であり、その投手もそのために身を捧げることが美徳であるという風潮がいまだに支配的です。NPBもいまだにそうでしょうね。異常に身体が強いか、たまたま運がよく、酷使にも耐えて肩を壊すようなことにならずに、プロ入りして大成功を収めた人の声が大きく幅を利かせているところがあります。

 昨日のブログで触れた暴力問題と共に、日本のスポーツ界の宿痾(しゅくあ)というべき問題であり、日本のマスコミもいまだに同根の意識から抜けられないようです。

 

 夏の甲子園主催者である朝日新聞の今日の記事(竹田記者)では、「佐々木の決勝戦出場回避、気になった選手の納得感」と題し、冒頭に「試合後の大船渡のベンチ前で、国保(こくぼ)監督が取材に応じていた。客席から大声が聞こえた。『甲子園さ行きたくねがったのか』」と殊更に客席のヤジを取り上げた上、国保監督が故障予防に細心の注意を払ってきたことに言及しながら、「選手はこの起用にどこまで納得していたのか。『ちょっと驚いた』『朗希(ろうき)が投げると思っていた』。試合後、少なからぬ選手がこの日朝に先発オーダーを聞いた時の感想をこう表現した。」「国保監督の気遣いを、佐々木は『すごくありがたいことだと思っている』と語った。同じ会見で『投げたい気持ちはあった』『甲子園に行けなかったことは残念です』とも。その表情は複雑だった。」と結んでいます。

 

 この記事で竹田記者は何を言いたいのでしょうか?

 佐々木投手の健康や未来は、他の選手の納得で左右される問題ではないはずですし、佐々木投手の健康がかかっているのであれば、他の選手や佐々木投手自身が納得しなくても登板を回避させるべきでしょう。少なくとも高校生の課外活動とはそういうものです。

 むしろ、問題の本質は、過密な日程を組むために一部の選手に過剰な負担がかかっていること、しかるに、その改善をすべき大会運営者側・大人側がその責務を果たしていないことにこそあると思いますし、そうした指摘は既に長らくされているところです。

 日程の緩和が少し実現し、球数制限等がようやく言われ始めていますが、それすらまだ途に就いたばかりで、一部の選手への過剰な負担の解消にはほど遠い現状です。

 

 朝日新聞(夏の主催者)や毎日新聞(春の選抜主催者)は、主催者であればこそ、こうした問題に真剣に取り組むべきですし、その意識があれば、上記のような記事にはならないのではないかと思うのですが、日頃の人権意識や木鐸としての姿勢はどこへ行ったのでしょうか。上記のような記事を読むと、そうした意識が全く感じられず、非常に残念に思います。

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