「河井案里さん辞職! 議員報酬は?パート1」
2021.02.04|甲斐野 正行
先月21日に公職選挙法違反(買収・事前運動)事件で東京地裁から懲役1年6か月・執行猶予5年の有罪判決を受けた河井案里参議院議員が昨日(2月3日)辞職届を提出し即日参議院本会議で許可されて、昨日付で辞職しました。
これを受けて、広島県選挙区の補欠選挙が4月8日告示、25日投開票の日程で実施されるようです。
昨年6月22日の私のブログ「河井案里さんの連座制と繰り上げ当選」で取り上げましたように、河井さんが辞職した場合、参議院広島県選挙区の議員であり、既に選挙から3か月を経過していること、次点の溝手顕正さんは、投票数において河井案里さんに及ばなかったことから、公職選挙法上、溝手さんの繰り上げ当選はなく、補欠選挙が実施されることになるわけです(辞任や死亡による場合でなく、公選法違反有罪判決確定により当選無効となり、繰り上げ当選もない場合は、補欠選挙ではなく「再選挙」といいますが、特に変わりはありません)。
河井案里さんが参議院議員の地位を失う場合としては、
① 自身の公選法違反有罪判決が確定する(その確定により直ちに被選挙権を失い、当選を失う)
② 公設秘書の公職選挙法違反有罪判決が確定したことを受けて、管轄区域の高検の検察官が管轄区域の高裁に連座制の適用を求める行政訴訟を提起し、連座制の適用を認める判決が確定する
③ 自ら辞職する
という3つのルートがあります。
なお、夫の河井克行衆議院議員の公職選挙法違反有罪判決が確定して、②と同様に連座制の適用を受けるというルートもあり得ますが、こちらは一審裁判の進行自体が遅れていますから、この際考えなくてもよいでしょう。
②は、広島高検が昨年12月21日、河井案里さんに連座制適用を求める行政訴訟を広島高裁に起こしたばかりであり、適用を認める判決が出て確定するのはまだ先になりそうです。
①は今日2月4日が控訴期限のようで、控訴すれば有罪判決確定は先の話になりますが、ご本人は控訴しない意向のようで、控訴しなければ、2月4日の経過によりご本人の有罪判決が確定し、被選挙権を失って、当選を失います。
ご本人が粘って議員の地位にある限りは、パート2でみますように、多額の議員報酬(歳費や各種手当)を受給し続けることが現行制度上可能なわけですが、①により当選を失う前に、③の自ら辞職する道を選ばれたようです。
このあたりは、メンツや政治的事情があるのでしょうが、この間、議員報酬だけは支給され続けているのは、新型コロナで経済的に厳しい状況にある方々が多い中、納得しにくいところです。
以 上