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後見・財産管理

後見・財産管理について
~成年後見~他人事ではない時代に~

広島メープル法律事務所の取り組み

人は誰しも歳を取ることは避けられません。そして、日本は、高齢社会を迎えて、寿命が伸びたこととは引換に、残念ながら老化により判断能力がかなり低下した状態での生活を余儀なくされる場合が多いことも事実です。もちろん、老化だけでなく、若くして病気や事故によって判断能力が低下することもあり得ることです。当事務所は、「高次脳機能障害とは」で詳しく述べておりますように、交通事故で高次脳機能障害事案を多数手がけ、その過程でNPO法人高次脳機能障害サポートネットひろしまや日本脳外傷友の会の活動に参加協力して、高次脳機能障害に苦しむ方々のために尽力して参りました。そして、その中で、高次脳機能障害を含め、年齢、病気や事故によってすでに判断能力が低下してしまった方の現在の生活をいかに保護するか、更に親や身内がいる現在はそれほど問題はなくとも、将来、親や身内が亡くなった後の生活をどうするか、が極めて重大な課題となっていると認識しました。
そこで、当事務所は、老化、病気や事故によって判断能力が衰えた場合、あるいは、将来衰えることに備えて、いかにご本人の財産や意思、身の上を保護するかの不安や課題を解消するためのお手伝いに積極的に関わり、そのための社会保障制度も含めて豊富なノウハウと経験を蓄積してきました。お気軽にご相談ください。

成年後見制度

精神上の障害が理由で判断能力の不十分な方々の財産や意思、身の上を保護するため、法律関係の意思決定を支援する保護者を選任する制度のことです。
民法の基本原則は、自分の意思で自分の法律関係を決めるという私的自治の原則(自己決定の自由と責任)にあります。そして私的自治の原則は、法律関係を決められるだけの判断能力(=意思能力といいます)があることが前提であり、意思能力がない状態(=意思無能力といいます)で行われた法律関係は無効です。そこで、意思能力がない、あるいは契約関係を処理できるだけの能力が足らない場合には、保護者を決めて、本人の行為を取り消したり、本人に代わって契約を処理したりできるようにする制度が、民法の行為無能力者(制限行為能力者)制度です。行為無能力者の行為は、契約等を行った時点の本人の状態を問題にすることなく、定型的に取り消すことができるとして、本人の保護を徹底しているのです。この制度は、本人を保護するだけでなく、本人の意思を尊重するための制度でもあります。 民法で定められた判断能力の不十分な者として、下記4種類のパターンを設けています。

未成年者
20才未満の者のこと(民法4条)。但し未成年でも結婚すると成年とみなされます。
この場合の保護者=法定代理人は、両親又は親権者です。
親権者がいない場合は、未成年後見人です(民法838条1項)。
被後見人
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者のこと(民法7条)。
この場合の保護者は後見人といいます(民法838条2項)。後見人は、被後見人が勝手に行った行為(保佐や補助の場合のように限定されていない)を取り消すことができます。
被保佐人
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者のこと(民法11条)。
この場合の保護者は保佐人といいます。被保佐人は一定の重要な行為(民法13条1項・例 重要な財産の処分等)をするのに保佐人の同意が必要です。これらの行為を被保佐人が保佐人の同意なく行った場合は、保佐人はその行為を取り消すことができます。
被補助人
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者のこと(民法15条)。
この場合の保護者は補助人といいます。上記のように、被保佐人は一定の重要な行為をするについて保佐人の同意が必要とされていますが、被補助人は、その一定の行為の中で特に家庭裁判所で指定された一部の行為についてのみ補助人の同意を必要とされ、これを補助人の同意なく行った場合は、補助人はそれを取り消すことができます。

後見等の申立

誰が申立をするのか。

家庭裁判所に対して申立ができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、保護者等(後見人、保佐人、補助人等)、検察官(公益の代表者)です(民法7条等)。なお65歳以上の者、知的障害者、精神障害者については、市長村長の申立の制度があります(老人福祉法32条、知的障害者福祉法28条精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2)。

申立書への添付書類

申立は、申立書を本人の住所地を管轄する家庭裁判所に提出して行います。
申立には、事理を弁識する能力についての医師の診断が必要です。かかりつけ医師に診断書を書いてもらい、裁判所に提出します。通常はそれで足りる場合が多いのですが、事案によっては裁判所が正式な鑑定を求めることがあります。 なお補助の場合、鑑定は必ずしも必要とされていません。
鑑定には費用の予納が必要ですが、金額としては、5万~10万円程度で、かかりつけ医師に依頼することも可能です。
●申立必要書類・・・申立書、本人等の戸籍、診断書、財産目録等

誰が後見人になるのか。

申立書には、後見人候補者を書くようになっています。しかしそこで希望した候補者が必ず後見人に選任されるわけではありません。親族から必ず選ばれるわけではなく、事案によっては、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職の後見人が選ばれることがありますし、最近は親族後見人による財産の使い込みの問題を防ぐため、第三者の後見人が選ばれる場合も増えています。さらに法人による後見もあります。入所者のために施設を運営する社会福祉法人などが後見人になり、実際の職務はその法人の従業者等が行うというものです。
また、親族後見人が活動する場合でも、裁判所の監督のもとで信託銀行に財産を信託することによって、被後見人の生活費や介護費用に限定して支出を認める「後見援助信託制度」の運用が開始されています。
後見申立の場合は、配偶者や子などの親族に意見照会がなされます。その場合に親族間に対立があるような場合には裁判所も慎重になります。紛争のおそれがあるケースでは裁判所は、第三者による後見人を入れたほうがよい、と考えるからです。

後見人の職務と権限

後見人の職務は、身上の監護(民法858条)と財産の管理(民法859条)です。財産の管理は、本人の意思を尊重しつつ本人を代理して財産についての法律関係を処理することです。身上の監護は、本人の意思を尊重しつつ、心身の状態及び生活の状況に配慮することで、介護契約の締結や施設への入所契約などの処理を行うことです。複数の後見人が選任される場合もあり、財産管理については専門職の後見人が、身上監護については親族の後見人が選任されるケースも見られます。
注意しなければいけないのは、後見人になったからといって被後見人本人の財産を自由に使っていい、ということではないことです。自己または第三者の為に被後見人本人の財産を使った場合は、業務上横領罪(刑法253条)に問われかねません。あくまで被後見人本人のために財産を管理しなければなりません。
また、財産管理といっても、被後見人の居住用不動産の処分については、裁判所の個別の許可が必要です(民法859条の3)。

後見人の報酬

後見人については、家庭裁判所の決定により、被後見人の財産の中から報酬が払われる場合があります(民法862条)。あくまで家裁の判断ですが、弁護士等専門職が成年後見人等に選任された場合について、これまでの審判例等、実務の算定実例を踏まえた標準的な報酬額の目安は、通常の後見事務の場合の報酬(これを「基本報酬」と呼びます。)は月額2万円、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には、財産管理事務が複雑、困難になる場合が多いので、管理財産額が1000万円超5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円、管理財産額が5000万円超の場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とされるようです(あくまで目安です)。親族の成年後見人等は、親族であることから報酬の申立てがないことが多いのですが、申立てがあった場合は、専門職の報酬を参考に事案に応じて減額されることがあるようです。さらに、身上監護等に特別困難な事情があった場合や、訴訟など特別な業務によって財産を増加させるなどした場合には、基本報酬に加えて付加報酬が付与されることもあります。なお、保佐人、補助人も同様です。

後見の事例

高齢の親の家で高価な和服や宝石、それに関する請求書を発見したケース
判断能力の低下した高齢者に次々に高額の商品を売りつける悪徳商法が問題になっています。虎の子の財産を取り戻したり、高額の請求を阻んだりするためには、きちんとした意思表示ができる法定代理人である後見人が必要です。
親の介護の際、親の判断能力の低下を理由に親族から「親の意思に反してお金を勝手に使っている」と言いがかりをつけられたケース
親の生きているうちは介護を押しつけっぱなしにして何も言わなかった親族が、亡くなった後になって、「判断能力が低下していた親にお金の使い方が決められるわけがない。お前が勝手にお金を使ったのだろう」と言いがかりをつけてきて裁判になることも少なくありません。判断能力の低下した親の介護をするのであれば、貴方が後見人になって、後見人として、ご本人の財産を管理し、きちんと本人の為に使った記録を残し、裁判所に定期的な報告をすることで、後のトラブルを回避することができます。ご本人の財産から報酬の支払を受けることも可能です。
事故に遭った際、心身に障害が残り正常な判断ができず、本人が損害賠償請求の判断ができないケース。
ご家族が保険会社や加害者と交渉されることが多いと思いますが、法律的に正式の示談をしようとしても、成人の場合は家族といえどもご本人の委任がなければ代理はできないのが原則です(なお本人が未成年の場合には、ご本人の委任がなくても、原則として親権者が法定代理人として示談が可能です)。しかし、ご本人の判断能力自体に問題がある場合には、ご本人が適切な代理人を選ぶこともできなければ、自身で示談契約の締結もできません。保険会社の方から、被害者ご本人について後見人等を選んでほしい、といってくることがあります。そこで後見制度の利用が必要となります。
事故で加害者から賠償金をもらったが、事故後性格が変わったように金遣いが荒くなったケース
事故で高額の賠償がもらえたとしても、ご本人の判断能力が衰え、金遣いが荒くなることや、お金を狙われ危険な目にあう可能性があります。ご本人を守るためにはどうしたらよいでしょうか。「判断能力の衰えがみられても、限定された場面だけで、あらゆる場面で判断能力が衰えているわけではない。」という場合、重要な財産の処分、例えば「特定の預金口座の払戻し」の場合に限って、保護者の同意を必要とする「補助」や、一定のパターンの行為について同意を必要とすると定める「保佐」を選択することができます。

任意後見

成年後見は、実際はご本人の判断能力が衰えた場合に開始されますが、必要なときには自分自身は判断能力が衰えてしまっていて自分の意思で後見人を選ぶことが出来ないので、そうなる前に予め、いざというときに頼める人を自分で選んでおきたい、ということもあるでしょう。このような制度として任意後見という制度が定められています。

予め公証人役場で任意後見人受任者と任意後見契約を締結しておいて、のちにご本人の判断能力が衰えた時点で(「事理を弁識する能力が不十分な状況」にあることとされているので、必ずしも成年後見の程度までの判断能力の減退は要求されていません。)、ご本人や配偶者、四親等内の親族、任意後見人受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、選任された任意後見監督人の下で任意後見人受任者が任意後見人として業務を行う、というものです。なお、任意後見人が選任されている場合であっても成年後見(保佐・補助を含む)が開始された場合は、任意後見は終了します。しかし、任意後見人が選ばれている場合に、あえて成年後見が認められるためには「本人の利益のために特に必要がある」ことが要件とされていますので、よほどそれまでの任意後見に問題がない限り、任意後見人の地位は尊重されるようになっています。
もう一つ、任意後見のメリットは、予め任意後見人に依頼できる内容を自分で決めておくことができることです。成年後見人の権限は本人の財産関係処理の全般に及びますが、任意後見人については、一定のこと(例えば特定の預貯金の取引や不動産の管理)に限って代理権を与えることが可能です。
なお、任意後見が具体的に開始されるのは、前述したように能力が不十分になって後見監督人が選任された場合です。その前から財産管理契約を締結し、財産の管理を任せておいて、さらに判断能力が弱まった時には、任意後見に移行していく、という形も可能です。

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